失神した:どんな症状?原因やリスクは?自分で対処する方法は?どんなときに医療機関を受診すればいいの?
更新日:2020/11/11
- 北里大学医学部の循環器内科の庭野慎一と申します。
- とつぜん失神したり、失神が何回も続いたりすると、心配になりますよね。何か悪い原因で起こっているのではないか?と心配されたり、「病院に行ったほうが良いかな?」と不安になられたりするかもしれません。
- そこでこのページでは、失神の一般的な原因や、ご自身での適切な対処方法、医療機関を受診する際の目安などについて役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「本当に知ってほしいこと」について記載をさせていただいています。
目次
まとめ
- 失神とは、一時的に脳に酸素が供給されなくなることで脳の活動が停まり、意識を消失してしまうことです。
- 失神を起こす病気としては自律神経の異常、不整脈などの心血管病があり、失神類似状態(失神以外の一時的な意識障害)を起こす病気としては、てんかん、一過性脳虚血発作などがあげられます。
- 失神が起きたら、命にかかわらない病気かどうかの原因特定のために、病院の受診をお勧めします。
- 特に、失神発作を繰り返すような場合は早急に病院を受診してください。
失神は、どんな病気?
- 失神が起こる病気としては下記のようなものがあげられます。
自律神経の異常
- 最も頻度が高いのは自律神経の異常による血圧低下です。
- 自律神経の異常には、いわゆる立ちくらみ(立ち上がった時に低血圧になる:起立性低血圧)のほか、長く立っていることで起こる反射(迷走神経緊張性失神)、排尿や排便後に起こる反射(状況失神)などがあります。
- 強い痛みやストレスで同様な反射が起こることもあります。
不整脈
- 次に多いのは、不整脈です。
- 心臓が突然停止したり、異常な速さで拍動したりする(頻拍)とポンプとしての機能が低下して脳の血流が足りなくなります。
- また心臓の全身へ血液を送り出す出口が狭くなる病気(肥大型心筋症、大動脈弁狭窄症)でも失神することがあります。
- 心臓が原因の場合、そのまま命に関わる発作になってしまう場合もあります。
てんかん
- てんかんは脳の中に異常な電気興奮波が発生して、正常な脳の働きが停止してしまう病気です。
- 典型的には意識がない状態で、ガクガク体を動かしたり泡を噴いたりしますが、周りから見ていて気付きにくい発作の方もいます。
一過性脳虚血発作
- 一過性脳虚血発作は軽い脳梗塞のことで、意識の戻った直後、手足が動きにくかったり、ろれつが回りにくくなったりする特徴があります。
失神したと思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- 失神は周囲で他人が見ていないと、どの程度の時間倒れていたのかが分かりません。
- 少なくとも頭を打った、顔面を怪我したなどの状況がある場合は、完全に目がくらんで倒れた証拠ですから、病院で詳しく調べてもらう必要があります。
- お酒や眠薬で眠り込んでしまった場合は、この様な怪我が見られないので区別できます。
どんな症状がでるの?
- 失神とは、一時的に脳に酸素が供給されなくなることで脳の活動が停まり、意識を消失してしまうことです。
- 一時的に姿勢が保持できなくなるが、しばらくして後遺症なく意識回復する状態という医学的な症候です。
- 脳に血流が保たれている「居眠り」とは違い、倒れることが特徴です。
- 類似した病気の症状として、てんかんや一過性脳虚血発作(ごく軽い脳梗塞)がありますが、これらは失神類似状態と呼ばれます。
失神しても後遺症がなければ心配いらないの?
- 自律神経が原因の失神では、一般に命に関わる状態にはならないと考えられます。
- しかし、状況によっては高所から落ちたり乗り物にぶつかったりする可能性もあるので、危険のない状況にいるように注意しなければなりません。
- 心臓が原因の場合は、発作の後そのまま死亡してしまうケースがありますので、専門医の診断が必要です。
- 一過性脳虚血発作の場合は、その後脳梗塞を発生する頻度が高いので、専門医の診断が必要です。
失神があった人が注意することは?
- まず、命に関わる病気が隠れていないことを確かめる必要があるので、専門医の診察が必要です。
- 特に発作を繰り返している場合は、早急な病院受診をおすすめします。
- 自律神経系の診断がついた方でも、失神の状況次第では事故につながる可能性があるので、注意した行動が必要です。
- なお失神を繰り返し、それを予防できない方は、自動車運転や特定の職業への就労が法的に制限され、申告しないことも罪に問われる場合があります。
- 十分に検査を受け、専門医に相談する必要があります。