クループ:どんな病気?咳の特徴は?人にうつるの?検査や治療は?
更新日:2020/11/11
- 小児科専門医の望月博之と申します。
- このページに来ていただいた方は、もしかするとお子さまが「クループ」と診断されるなどして不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」についてまとめました。
目次
まとめ
- クループとは風邪の一種で、のどの奥が腫れる病気です。
- クループは6カ月から3歳の乳幼児に多くみられます。
- 症状としては犬の吠えるような咳やしわがれ声、息をするとぜいぜいして苦しいといったことがみられます。
- 急変したり重症化することがありますので、疑ったら医療機関を受診して下さい。
- 一度かかるとくりかえすこともありますので風邪をひいたときは注意して下さい。
クループは、どんな病気?
- クループとは、ウイルスの感染によって、のどの奥にある声帯(声が出るところ)の周囲が腫れる病気です。
- かぜの一種で冬にみられることが多く、とくに6カ月から3歳の乳幼児に多くみられます。
- 1~3日ほど、咳や鼻水の通常のかぜの症状が先行したあと、犬の吠えるような咳やしわがれ声、息をするとぜいぜいして苦しいなどの症状がみられます。
- 呼吸が苦しくなる病気で急に悪化したり、重症化することがありますので、疑ったら医療機関を受診して下さい。
クループと思ったら、どんなときに病院・クリニックをへの受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- クループを疑ったときは、必ず医療機関を受診してください。
- クループは呼吸が苦しくなる病気です。以下を目安にして病院にかかりましょう。
かかりつけ医への受診がおすすめな場合
- 明らかに普通のかぜと違う咳がでる場合
- 声がかれてゼイゼイと音のする息をする場合
- 苦しそうな呼吸をする場合
救急車を呼ぶ場合
- 呼吸が止まるようなしぐさがある場合
- ぐったりしたり、顔色が悪くなった場合
受診後、早く良くなるためにできることは?
- 早くよくなるためには下記のことを行うとよいでしょう。
早く良くなるためにすること
- 上体をあげて、呼吸を楽にさせる。
- 部屋をあたたかくして、湿度を下げない。
- 水分をこまめにとる。
クループになりやすいのはどんな人?原因は?
- クループはかぜと同じようにウイルスや細菌がのどに感染することがきっかけで起こります。
- 乳幼児のように免疫が弱く、のどが狭いとなりやすいと言えます。
- 人工呼吸管理をしたことのある子どもでは、声帯の周りがさらに狭いため、重症化する可能性があります。
どんな症状がでるの?
- クループにかかった場合、下記のような症状を示します。
クループの症状
- 急性の発熱
- 犬の吠えるような咳
- しわがれ声
- ゼイゼイする呼吸
- 息苦しさ
- 元気がない
- 眠れない
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- クループでは特徴的な症状がみられるため、医師はクループを主に症状と身体所見で診断します。
- 同時にその他の病気も疑われた場合、以下のような検査を行います。
検査の種類
- 血液検査:感染が起きているかどうかをみる。
- のどのX線写真撮影:のどが狭まっているかをみる。
- 迅速検査:原因となるウイルスを確かめる。
- 呼吸の苦しさをみるために、酸素飽和度が簡単に測れるサチュレーションモニターが用いられます。
どんな治療があるの?
- クループの治療としては薬物療法が行われます。
- クループと診断された場合、アドレナリン(気管を広げる薬)の吸入を行います。
- 必要に応じて、ステロイド薬(腫れを抑える薬)を飲んだり注射したりします。
- 改善が少なければ、入院治療が必要です。
- クループの原因はウイルスがほとんどで、ばい菌のための抗生物質を使う必要はありません。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?治療の副作用は?
アドレナリン(気管を広げる薬)吸入の治療の場合
- アドレナリンの吸入はクループにとても良く効きますが、2-3時間しか効きません。
- したがって、改善したようにみえてもふたたび悪くなる恐れがあります。
- 呼吸のようすをしっかりと観察し、呼吸の悪化がみられれば、再度の医療機関の受診も必要です。
ステロイド薬(腫れを抑える薬)の治療の場合
- クループで使われるステロイド薬の使用期間は短いので、医師の処方した量や期間であれば副作用は心配ありません。
- クループの時は機嫌が悪くなりがちですが、しっかり飲ませることを心がけてください。
うつるの?自分の予防のためにできることは?
- クループはかぜの一種であり、人にうつりやすいです。
- 周りのこどもにうつさないように注意をする必要があります。
- クループを起こしたウイルスに感染すると、乳幼児であればクループになる可能性がありますが、年長児や大人では、通常のかぜの症状がみられます。
- クループを発症するリスクを下げるために、乳幼児のいる家族では下記のことを行いましょう。
クループを予防するために
- 外出後、うがい、手洗いを行う(消毒薬を用いるとよいです)。
- 家の中でも咳のあるものはマスクをする。
- かぜの症状がみられたら、別の部屋で生活する。
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- クループは数日で治ることが多いようです。
- 通常、途中から合併症がみられたり、後遺症を残すことはありません。
追加の情報を手に入れるには?
- クループに関しては「咳嗽に関するガイドライン第2版」を見るとよいです。
- www.jrs.or.jp/uploads/uploads/files/photos/1048.pdf
さいごに
- クループを起こしやすい年齢や素因があるようで、同じ患者さんが繰り返すことが多いようです。
- 一度、診断されたら、次回のかぜのときは注意しましょう。