マイコプラズマ:肺炎を引き起こすの?人にうつるの?検査や治療は?
更新日:2020/11/11
- 杏林大学呼吸器内科の皿谷 健と申します。
- このページに来ていただいたかたは、「マイコプラズマ感染症やマイコプラズマ肺炎ってなんだろう?」、「今の症状は自分が、家族が、周りの人がマイコプラズマ感染症になってしまったのかも?」と思って不安になられているのかもしれません。
- マイコプラズマ感染症に対してご心配をされていたり、病気のことを知りたいと思っている方に少しでもお役に立てればと思っております。
目次
まとめ
- マイコプラズマとは最も小さいサイズの細菌で、人間の鼻、のど、気道に付着しています。
- マイコプラズマに感染すると、2~3週間後に、熱と乾いた咳が出て、肺炎と診断されることがあります。
- 咳やくしゃみによるしぶきで、人から人へうつります。
- 5~30歳の肺炎の原因として、頻度が高い疾患の一つです。
- 抗菌薬で治療ができます。
マイコプラズマって何のこと?
- マイコプラズマとは最も小さいサイズの細菌で、人間の鼻、のど、気道に付着しています。
- マイコプラズマに感染すると、熱や咳など風邪と同じような症状を引き起こします。
- 咳やくしゃみによるしぶきで、人から人へうつります。
マイコプラズマはどんな人がかかりやすいの?
- マイコプラズマは5~30歳が最も感染しやすいとされ、1歳未満や高齢者の感染はまれです。
- 幼児、学童、青年期の肺炎の原因として頻度の高い疾患の一つで、季節に関係なく小流行します。
コラム:マイコプラズマの歴史豆ちしき
- 以前はオリンピックの年に4年ごとの流行がありました。
- 第2次世界大戦中に、軍隊の集団発生で注目された歴史があります。
マイコプラズマに感染するとどんな症状が出るの?
- マイコプラズマに感染した場合、2~3週後に、熱と乾いた咳(痰を伴う咳の時もあり)が出て、肺炎と診断される場合があります。
- 2~3週前に、同様の症状の人が家族や勤務先などでいなかったかを確認するのが重要です。
- 感染後した人の多くは風邪のような症状が出て治ります。10%程度が肺炎になると言われています。
マイコプラズマと思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?
- 頑固な乾いた咳や、3日以上熱が下がらない場合は、一度内科を受診してください。
- 熱が下がらず、皮膚にさまざまなぶつぶつ(発疹)がでることもあります。このような場合は皮膚科または内科の受診をお勧めします。
マイコプラズマ感染症を疑うとき、病院ではどんな検査をするの?
- 喀痰培養検査:痰が出る場合、痰の中にマイコプラズマがいないかを調べます。
- 血液検査:マイコプラズマに対する抗体検査を行います。来院初日の1回のみの検査で診断が可能な場合と、2~4週後に抗体の上昇を確認して診断がつく場合の2通りあります。
- 抗原迅速検査:のどを綿棒で拭って、マイコプラズマがいないか調べる検査です。15分程度で診断可能です。
マイコプラズマ感染症にはどんな治療があるの?
- マイコプラズマ感染症と診断されると、抗菌薬で治療が行われます。
- マイコプラズマ菌に対する抗菌薬として、マクロライド系(クラリスロマイシン、アジスロマイシンなど)やテトラサイクリン系(ミノマイシン、ドキシサイクリンなど)、ニューキノロン系(トスフロキサシンなど)の抗菌薬が使用されます。
- 重症の肺炎の場合は、ステロイド薬の投与も考慮される場合があります。
コラム:マクロライド耐性菌
- 近年はマクロライド系のお薬が効かない”マクロライド耐性菌”が問題になっています。
- マクロライド系で効果がない場合、テトラサイクリン系の薬やニューキノロン系の薬が使用されます。
- 8歳未満では副作用のためテトラサイクリン系の薬は使用が難しいですが、成人の場合は最初からテトラサイクリン系の薬を投与するという方法もあります。
マイコプラズマ感染症は予防できるの?
- 残念ながら、現時点では有効な予防法やワクチンはありません。
- 一度感染しても、抗体価が下がってくると再度、感染することがあります。
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- 適切な治療を行えば治ります。
- 治療を始めてから2~3日以内に熱は下がると報告されていますが、咳が消えるまでにはさらに日数が必要です。