血尿:どんな症状?原因やリスクは?自分で対処する方法は?どんなときに医療機関を受診すればいいの?
更新日:2020/11/11
- 泌尿器科専門医の古家 琢也と申します。
- おしっこが、とつぜん血が混じって赤くなったり、検診で血尿があると指摘されると、心配になりますよね。何か悪い原因で起こっているのではないか?と心配されたり、「病院に行ったほうが良いかな?」と不安になられたりするかもしれません。
- そこでこのページでは、血尿の一般的な原因や、ご自身での適切な対処方法、医療機関を受診する際の目安などについて役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「本当に知ってほしいこと」について記載をさせていただいています。
目次
まとめ
- 血尿【けつにょう】とは、おしっこ(尿)に赤血球(【せっけっきゅう】、血の成分です)が異常に混ざっていることをいいます。
- 明らかに赤い血尿の場合もあれば、目で見てもわからない血尿のこともあります。
- 目で見て明らかに赤い血尿が出た場合は、様子をみず、すぐに泌尿器科のある病院を受診してください。
- 目で見てもわからない血尿は顕微鏡的血尿と呼ばれますが、顕微鏡的血尿を指摘された場合も、原因をしっかりと調べるために、泌尿器科や内科できちんと診てもらってください。
血尿とはどんな症状?
- 血尿とは、おしっこ(尿)に赤血球が混ざっている状態のことをいいます。尿に赤血球が異常に混じっていることが顕微鏡で確認できれば、血尿と診断されます。
- 目で見てわからない血尿を顕微鏡的血尿【けんびきょうてきけつにょう】,明らかに赤い血尿を肉眼的血尿【にくがんてきけつにょう】といいます。
- 尿の色が赤くなるだけではなく、黒い尿や、血の塊が一緒に出てくることもあります。
- 膀胱炎がひどくなると、白く濁った尿と一緒に血尿が出てくる場合もあります。
- なお、尿検査で尿潜血陽性という結果が返ってくることがあると思います。しかし、血尿があるということを意味しないので注意が必要です。
こんな症状があったら医療機関を受診しましょう
- 検診で尿潜血を指摘されたら、早めに泌尿器科、内科のある病院にご相談ください。
- 目で見て明らかに赤い血尿の場合には,すぐに泌尿器科のある病院にご相談ください。様子をみることは厳禁です。
血尿の主な原因とその説明
- 血尿は様々な原因で起こります。主な原因となる病気を説明します。
悪性腫瘍(がん)
- 明らかに赤い血尿が出た場合、尿の通り道のどこかにがんがあって、そこから出血していることをまず疑います。
- 血尿が出る可能性のあるがんとして、腎盂尿管がん、膀胱がん、尿道がん、腎がん、前立腺がんなどがあります。がんの種類によっては早めの治療を必要とする場合もあるので、すぐに泌尿器科のある病院にご相談ください。
尿路結石
- 尿路結石【にょうろけっせき】は、尿の通り道にできた石のことをいいます。石が尿の通り道に傷をつけるために、血が混じることがあります。
- 尿路結石の場合は目で見てわからない血尿がほとんどで、患者さんご自身が血尿だと判断することはできないため、病院へ行くきっかけとなることは少ないです。
- なお、尿路結石があると、強い痛みや吐き気が起こることがあります。血尿が出ていなくても、このような場合はすぐに救急指定病院へ行ってください。
腎炎
- 腎炎とは、尿を作っている腎臓に何らかの原因で炎症が起きている状態をいい、目で見てわからない血尿が出ることがあります。
- 学校の健診などで「尿潜血」と指摘された場合、この病気の可能性があります。お近くの泌尿器科、あるいは内科、小児科のある病院にご相談ください。
感染症
- 感染症とは、何らかの原因で尿の通り道にばい菌が入り込んだ状態をいいます。
- 長い間この状態が続き、ばい菌が増えると、白い膿【うみ】のような尿と一緒に明らかに赤い血尿が出ることがあります。お近くの泌尿器科や内科のある病院にご相談ください。
血尿に対して、よくなるために自分でできることは?
- 血尿が自然と良くなることはない、と考えておいたほうがよいでしょう.ご自身でできることは、残念ながらほとんどありません。
- 一度でも、目で見て明らかに赤い血尿がでたら,すぐに泌尿器科のある病院を受診していただくことが重要です。悪性腫瘍(がん)から出血している可能性があります。「尿の色が薄くなってきたから、もう少し様子を見てから行こう」などと思ってはいけません。血尿が出た日,遅くても次の日には病院にご相談ください。
- また、検診で尿潜血を毎年指摘される方も多いと思いますが、いつも原因が同じとは限りません。何もないのを確認するためにも,泌尿器科、内科を受診していただき、尿の中に赤血球が混ざっていないかをきちんと診てもらってください。
お医者さんでおこなわれること
- 病院では、血尿の出ている患者さんに対して次のような検査を行います。
- 尿検査:赤血球が尿の中に混ざっていないかを確認します。
- 尿細胞診:赤血球が入っていた場合、尿の中に腫瘍(がん)の一部である腫瘍細胞が混ざっていないかを確認します。この検査は結果が出るまで1週間程度時間がかかります。
- 超音波検査:尿の通り道に異常がないかを画像で確認します。
- CT検査、内視鏡検査、生検:腫瘍(がん)が疑われた場合は、さらに詳しい場所を確認する検査や、異常な部分の一部を切り取って確認する生検という検査を行うこともあります。
もっと知りたい! 血尿のこと
どんな病気のことが考えられる?
- 血尿の原因には、悪性腫瘍のほか、尿路結石、尿路感染症、前立腺肥大症、腎炎、神経因性膀胱といった疾患が考えられます。
- とくに肉眼的血尿を認めた場合は、悪性腫瘍をまず疑います。すぐに専門の医療機関を受診してください。
ガイドラインなど追加の情報を手に入れるには?
- より詳しい情報や最新のガイドラインなどについては以下の書籍やウェブサイトを参照してください。
- 血尿診断ガイドライン - 日本腎臓学会
- https://cdn.jsn.or.jp/jsn_new/iryou/free/kousei/pdf/JJN7-50.pdf