膀胱癌:原因は?症状は?検査や治療は?治療にBCGを使うの?
更新日:2020/11/11
- 泌尿器科専門医の神鳥 周也、西山 博之と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると「自分が膀胱癌になってしまった?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 膀胱癌の代表的な症状は、おしっこに血が混ざることです。特に、目で見て血が混ざっているとわかる場合には、泌尿器科のある病院にご相談ください。
- 膀胱癌と診断されたら、病気の状態に応じて手術、放射線治療、薬物療法を行います。担当医の先生とよく相談して、治療方法を決めてください。
膀胱癌は、どんな病気?
- 膀胱癌とは、膀胱(ぼうこう;おしっこを一時的にためる場所)の内側をおおっている尿路上皮【にょうろじょうひ】という粘膜ががん化する病気です。
- 尿路上皮ががん化することがほとんどですが、まれに扁平上皮【へんぺいじょうひ】や腺【せん】という部分ががん化することもあります。
膀胱癌と思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- おしっこに血が混じる、おしっこに頻繁に行きたくなる、おしっこをするときに痛いなどの症状が出たら、泌尿器科のある病院にご相談ください。
膀胱癌になりやすいのはどんな人?原因は?
膀胱癌になりやすい人
- タバコ(電子タバコを含む)を過去に吸っていた、または現在吸っている方
- 染料などに用いられる化学物質(芳香族アミン類)を仕事で扱っている方
- 過去に骨盤への放射線療法、シクロホスファミドやイホスファミドなどの特定の抗がん剤による治療を受けたことがある方
- 尿道カテーテル(おしっこの通り道に入れる管)を長い期間入れている方
どんな症状がでるの?
- 膀胱癌になってしまった場合、下記のような症状が出ます。
膀胱癌にみられる症状
- おしっこに血が混じる(もっとも多い症状)
- おしっこに頻繁に行きたくなる
- 突然おしっこに行きたくなり、それを我慢できない
- おしっこをするときに痛い
- おしっこが全く出せなくなった
- 腰や背中の痛み
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- 膀胱癌が疑われた場合、膀胱鏡検査と尿細胞診検査を行います。
膀胱鏡検査
- カメラをおしっこの出口から膀胱へ押し進め、がんの場所、大きさ、数、形などをチェックします。
- 通常は、入院せずに行うことができる検査です。
尿細胞診
- おしっこの中にがん細胞が出ていないかどうかを顕微鏡でチェックします。
- おしっこの中にがん細胞を認めない場合でも、がんの可能性を完全に否定することはできません。
- 他にも、がんがどこまで広がっているかを調べるために、超音波検査、CT検査、MRI検査、骨シンチグラフィーなどの画像検査を行うことがあります。
どんな治療があるの?
- 膀胱癌の治療はがんのタイプ(筋層非浸潤性がん、筋層浸潤性がん、転移性がん)によって治療が大きく異なります。
- がんのタイプを調べるためには、画像診断と経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)を行います。
筋層非浸潤性【きんそうひしんじゅんせい】がんの場合
- 膀胱の筋肉まで広がっていないがんです。
- 経尿道的膀胱腫瘍切除術でがんを取り除き、がんがまたできないよう、BCGという薬や抗がん剤を膀胱の中に投与します。
筋層浸潤性【きんそうしんじゅんせい】がん
- 膀胱の筋肉まで広がっているがんです。
- 膀胱をまるごと取り除く手術を行います。その際、おしっこの通り道を作り直す必要があります。また、場合によっては手術の前後で薬物療法を行うこともあります。
- 膀胱をまるごと取り除く手術を望まない方は放射線療法と薬物療法を一緒に行うこともあります。
転移性がん
- 膀胱以外の場所にまでがんが広がっているがんです。
- 全身に薬を投与する全身薬物療法(抗がん剤やがん免疫療法)を行います。
コラム:経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)
- 経尿道的膀胱腫瘍切除術とは、麻酔を使ってからカメラをおしっこの通り道から押し進め、電気メスでがんの部分を取り除く手術です。
- この手術には、がんを取り除くという治療の意味と、取り除いたがんがどのタイプか調べる意味があります。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?治療の副作用は?
- 治療を受けた後に注意することとして、がんがまたできないように見ておくことです。膀胱癌は、膀胱内に何度もがんができることが特徴です。そのため、治療のあとも膀胱鏡検査や尿細胞診検査などでチェックする必要があります。
経尿道的膀胱腫瘍切除術の場合
- この手術をしてから約1か月以内はおしっこに血が混じる状態が続くことがあります。自然に良くなっていくことがほとんどですが、おしっこの血が濃くなったり、おしっこが出なくなった場合は治療を受けた病院にご相談ください。
BCGを膀胱内に投与した場合
- この治療を受けた後に下記のような症状が出た場合は、治療を受けた病院にご相談ください。
気を付けてほしい副作用
- 38℃以上の熱が2日を超えて続く
- ひざ・肩・ひじの関節が痛む
- 目のかゆみ・充血・腫れ
- 痰のない咳が続く、息苦しい
- 体に赤い吹き出物が出た
追加の情報を手に入れるには?
- 膀胱癌に関してもっと知りたい方は下記のページをご覧ください。
- 国立がん研究センター(がん情報サービス)のサイト
- https://ganjoho.jp/public/cancer/bladder/index.html