消化管粘膜生検:何がわかるの?どんな時に必要なの?痛みはないの?
更新日:2020/11/11
- 消化器内科医の古出 智子と申します。
- このページに来ていただいた方は、上部消化管疾患(食道・胃などの疾患)や下部消化管疾患(大腸疾患)疑いまたはその心配があり、これから胃または大腸内視鏡検査を受けるに際して、消化管粘膜生検がどのような事をするのかを知りたいと考えられているかもしれません。
- 少し専門的になりますので胃内視鏡検査や大腸内視鏡検査の欄をご覧になった後にお読みいただくと、よりわかりやすいと思います。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」についてまとめました。
目次
まとめ
- 消化管粘膜生検とは、内視鏡(カメラがついている管)を使って口から肛門までの消化管の壁を観察後、病気が疑われる場所の一部をつまみ取ってきて、くわしく調べる検査です。
- つまみ取ったものは、専門の医師が顕微鏡で観察して、正常か異常か判断します。
- 生検では痛みは感じません。取った部分からは多少血が出ますが、基本的に自然に止まります。
- 検査後、検査当日は食事は軽いものを、お酒は控えるように言われます。
どんな検査?
- 消化管粘膜生検は、内視鏡検査のときに、消化管の壁の、さらにくわしく調べたい部分の一部をつまみ取ってくる検査です。
- 主に、病気が疑われる場合に行います。ばい菌が入って悪さしていて、ばい菌の種類を特定したいときなどにも使われます。
- 取ってきたものは、専門の医師が顕微鏡で見て調べます。
- 結果は検査した日から1-2週間後にわかります。
どういう人がこの検査を受けるべき?
- 内視鏡検査を受けた患者さんで、医師が消化管粘膜生検を必要と判断した場合に行われます。
- 多くは、消化管にできた病変が、そのまま放っておいても大丈夫なのか、取り除いた方がいいものなのかを確かめるために行います。
実際には、どんなことをするの?
手順
- 内視鏡(カメラのついた管)を使って、生検したい場所まで管をすすめて状態を観察し、どこから取るか決定します。
- 生検用の器具を入れ、カメラの画像を確認しながらつまみ取ります。
- 調べたい部分がしっかり取れているか確認したのち、生検した場所から血が出ていないか観察して終了です。
- 必要に応じて、2か所以上生検をする場合があります。
検査にかかる時間は?痛みはある?
検査にかかる時間
- 生検にかかる時間は数分です。
- 生検したところからの出血がないか確認したり、止血したりする時間も入れると、もう少しかかります。
検査中の痛みや苦痛
- 生検自体に痛みはありません。
- 生検をすることで検査時間が長くなり、苦痛に感じるかもしれません。
他にどのような検査法があるの?
- 消化管粘膜生検の代わりとして、内視鏡検査の際に、画像強調観察機能や拡大機能を使って、より細かく観察します。
- 画像強調観察機能:消化管の壁の表面の模様や血管の輪郭、色調を強調し、肉眼では見にくい変化をとらえる機能です。
理解しておきたいリスクと合併症
- 検査に必要な処置によって引き起こされる望ましくないことを合併症といいます。
- 消化管粘膜生検の主な合併症は、生検した場所からの出血と穿孔です。
出血
- 誰でもわずかな出血はありますが、自然に止まることがほとんどです。
- 血流の豊富な場所から生検した場合は、血を止めるのに時間がかかったり、血を止める処置を追加する場合もあります。
- 血液を固まりにくくするお薬を飲んでいる方では、出血のリスクが高くなります。
穿孔
- 穿孔とは、消化管の壁に穴が開いて貫通してしまった状態です。
- 粘膜生検で穿孔することはほとんどありませんが、たとえば生検した場所が、病気でえぐれてしまっている場合などでは穴が開く可能性はゼロではありません。
検査後の注意は?
- 内視鏡を使った検査では、検査直前にのどの麻酔をします。そのため検査後は、麻酔がとれてから1時間後から飲水、2時間後から食事が可能になります。
- 検査当日は、お酒や刺激の強い食べ物は避けるようにしてください。
- 翌日からのお食事は普段通りで問題ありません。
- 眠るお薬を使って検査を受けた場合は、ほかにも注意事項があります。病院の指示に従ってください。
検査後にあったらスタッフに伝えてほしい症状
- 黒い便、血の混じった赤い便:検査後に血を吐いたり、黒い便が出たりした場合は、すぐ病院に伝えてください。生検したところから血が出続けていることがあります。
- おなかの痛み:生検が原因でおなかが痛くなることはほとんどありませんが、検査後に強い痛みを感じた場合はすぐに相談してください。
※大腸カメラでは、生検をしていなくても検査後におなかが痛く感じることがあります。
ガイドラインなど追加の情報を手に入れるには?
- 日本消化器内視鏡学会 ホームページ
- https://www.jges.net/