アテローム性動脈硬化症(動脈硬化):どんな病気?検査や治療は?完治できるの?
更新日:2020/11/11
- 循環器専門医の東 幸仁と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると「自分にアテローム性動脈硬化が存在しているのでは?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- アテローム性動脈硬化とは、血管に余分なコレステロールがたまり、血管が狭くなったり詰まったりする病気です。
- 病気が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞を起こします。
- アテローム性動脈硬化は、初期の段階から、検査で確認することができます。
- 生活習慣の改善や、原因となる生活習慣病を治療することで、重い合併症が起きることを予防できます。
アテローム性動脈硬化症(動脈硬化)は、どんな病気?
- アテローム性動脈硬化(以下、動脈硬化と略します)とは、比較的大きな動脈が、狭くなったり詰まったりする病気です。
- コレステロールや脂肪の塊(粥腫、プラークともいいます)が、血管の壁の中にたまっている状態で、もし粥腫が破れて血管内に飛び出してくると、脳梗塞や心筋梗塞を起こしてしまいます。
アテローム性動脈硬化症(動脈硬化)と思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?
- 動脈硬化を疑ったとき、下記を目安に医療機関の受診を検討してください。
かかりつけ医への受診がおすすめな場合
- 50歳以上で糖尿病がある方や65歳以上の方などで、動脈硬化を強く疑う場合
循環器専門医への受診がおすすめな場合
- 胸を締めつけられるような症状が、数分続く場合
- 動悸・息苦しさがある場合
- 目の前が暗くなる、立ちくらみがある場合
- 足がしびれる、足が冷たくなる、歩くと痛みが強くなる場合
脳神経専門医への受診がおすすめな場合
- 頭痛がある場合
- 目の前が暗くなる、立ちくらみがある場合
救急車を呼ぶ場合
- 胸を締めつけられるような症状が、10分以上続く場合
- 息をするのが難しいと感じた場合
- 激しい頭痛がある場合
- 手足が思うように動かなくなる場合
- 言葉が出にくい、出ない場合
アテローム性動脈硬化症(動脈硬化)になりやすいのはどんな人?原因は?
- 以下の方は、動脈硬化になりやすいです。
動脈硬化になりやすい方
- 糖尿病の方
- 脂質異常症(コレステロールや中性脂肪が高い)の方
- 高血圧の方
- 太っている方
- タバコを吸う方
- 家族が心筋梗塞や脳卒中になった方
- 運動不足の方
- ストレスをためやすい方
どんな症状がでるの?
- 動脈硬化は、基本的に、かなり進行するまで症状はありません。進行して、血管が細くなったり詰まったりすると、下記の症状を示します。
動脈硬化の症状
- 胸の痛み
- 動悸
- 息が苦しい
- 頭痛
- 立ちくらみ
- 手や足に力が入らない
- 手や足がしびれる、痛い
- 意識がなくなる
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- 動脈硬化の程度を、心臓、脳や足の動脈でみる検査を行います。
心臓の血管でみる方法
- 心電図:心臓から発せられる電気信号を読み取り、心臓がきちんと動けているかを調べます。
- 冠動脈CT/MRI:冠動脈の構造を見るために行います。
- 冠動脈造影/血管エコー:造影剤を入れて、冠動脈がどこで詰まっているかを調べるために行います。
脳の血管でみる方法
- 脳動脈CT/MRI:脳動脈の構造を見るために行います。
- 脳動脈造影:造影剤を入れて、脳動脈の詰まりやこぶなどがないかを調べます。
手足の血管でみる方法
- 血管造影/血管エコー:造影剤を入れて、血管の詰まりなどがないかを調べます。
- 血管内皮機能検査:動脈硬化は血管内側の細胞の機能低下から始まると考えられているので、機能を調べることで動脈硬化が始まっているかを調べます。
- 脈波伝播速度:動脈硬化があるかを調べることができます。
- ABI:手や足の血圧をそれぞれ測ることで、血管が詰まっているかを調べます。
どんな治療があるの?
- 治療では、動脈硬化を起こす原因となっている高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病をしっかりと治療することが重要です。
- 狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症などの病気がある場合は、専門病院でそれぞれ、血液を固まらないようにする薬やカテーテル治療、手術などが行われます。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?治療の副作用は?
- 治療後の注意点として、動脈硬化の原因となる糖尿病、脂質異常症、高血圧に対する薬を定期的に飲むことが重要です。
- 再発しないように血液が固まらなくする薬を飲む場合は、出血などの副作用に注意が必要です。
予防のためにできることは?
- 予防のために下記のことを行うと良いです。
予防のためにできること
- 太っている方は体重を減らす
- タバコをやめる
- 適切な運動(有酸素運動)
※運動療法をする際は、循環器専門医に運動して良いかどうかを確認してください。
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- 残念ながら、症状が出てしまった動脈硬化は、完全に治ることは期待できません。
- 適切な治療により、進行を止めたり、改善したりすることは可能です。
追加の情報を手に入れるには?
- 動脈硬化に関しては、以下のガイドラインを参照にすると良いでしょう。
- 動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド 2018年版