制酸薬:どんな薬?長く使っていても大丈夫?副作用はあるの?
更新日:2020/11/11
- 消化器専門医の浅岡大介と申します。
- このページに来ていただいた方は、制酸薬についてのお悩みがあり、制酸薬の処方を希望されておられるかもしれません。
- 制酸薬を飲み始めるにあたり、それがどのような薬であるのかについて役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「本当に知ってほしい」ことについて記載をさせていただいています。
目次
まとめ
- 制酸薬は胃液を中和して胃の粘膜を保護する効果がある薬です。病院から出される以外に、市販もされています。
- 食生活の乱れやストレス、ヘリコバクター・ピロリ感染などによる、胃炎・胃十二指腸潰瘍によるみぞおちの痛みや重苦しさに対して使用します。
- お薬を飲むことにより、抗生物質の効果を減弱させたり、便秘・下痢などの副作用に注意しましょう。
- みぞおちのあたりの痛みがお薬をのんでもあまり改善しない場合には主治医と相談するか、専門の医療機関への受診が必要になるときがあります。
どんなくすり?おおよその値段は?
どんな目的で飲むの?
- 胃炎や胃十二指腸潰瘍などで荒れた胃の粘膜を修復し、みぞおちあたりの痛みや重苦しさを良くするために使います。
どのように飲むの?
- 食べ過ぎやストレスで、みぞおちのあたりが痛んだり重苦しいときに、食後または食後2~3時間後に服用してください。
飲み始めるときの注意点は?いつまで使うの?自分でやめてよい?
- 制酸薬はあくまでも胃酸を一時的に中和して、胃の粘膜が傷つくのを防ぎます。そのため、みぞおちあたりの痛みの原因が胃酸でない場合はお薬が効かない場合があります。
- みぞおちのあたりの痛みがお薬をのんでもあまり改善しない場合には病院に行って相談してください。
- 特に、おなかの悪性の病気の場合や重症の胃・十二指腸潰瘍の場合には速やかに専門の病院への受診が必要になります。
副作用ってよく聞くけど、どんなことが起こるの?治療中の注意点は?
- 一部の抗生物質と併用して使った場合、抗生物質の作用が低下して、効果が低下してしまうことがあります。
- 制酸薬の成分が便秘、下痢の原因になったり、長期間服用すると、臓器に溜まることがあります。
薬剤にはどのような種類があるの?それぞれの特徴は?
薬剤の種類
- 水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム配合:医療機関で処方される制酸薬として一般的なタイプで、即効性があり、胃炎・胃・十二指腸潰瘍・消化管出血などに幅広く用いられます。
- 炭酸水素ナトリウム:全身に対する制酸薬で、胃酸を中和し、血液や体液のpHを上昇させてアシドーシスを改善させます。胃酸がリバウンドで分泌亢進してしまうことがあります。
- 沈降炭酸カルシウム:酸を中和し制酸作用を示すほか、吸着作用もあります。胃潰瘍や胃酸過多症の制酸薬として働きます。リンを吸着し排泄させる作用もあります。
- 酸化マグネシウム:胃内では制酸作用により胃酸を中和します。腸内では水分の再吸収を抑制し、腸の中の内容物が膨らみ、便を出しやすくするため、便が緩くなることがあります。
- 合成ケイ酸アルミニウム:胃粘膜を保護して胃の潰瘍部または炎症部に及ぼす胃液の刺激をさえぎり、また、胃酸を徐々に中和します。透析療法を受けている人では使用を避ける必要があります。
ガイドラインなど追加の情報を手に入れるには?
- より詳しい情報や最新のガイドラインなどについては以下の書籍やウェブサイトを参照してください。
- 太田胃散
- https://ohta-isan.co.jp/product/medicine/ohtaisan/
- 日経メディカル
- https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/article/556e7e5c83815011bdcf82bb.html
もっと知りたい! 制酸薬
食事などとの飲み合わせは?一緒に飲まないほうがいい薬はある?
- 酸度の高い食品と一緒に服用すると胃酸に対する中和作用が低下することが知られています。
- 制酸薬のうち、炭酸水素ナトリウムや酸化マグネシウムは大量の牛乳と同時に服用すると、カルシウムの吸収が良くなりすぎてしまい、吐き気や食欲不振などの症状があらわれることがあります。
制酸薬を服用してもみぞおちの痛みなどの症状が改善しないときはどうすればよいですか?
- 胃酸以外による症状かもしれませんので、専門の医療機関への受診をお勧めします。