狭心症:症状は?前兆があるの?検査は?薬など治療はあるの?
更新日:2020/11/11
- 循環器専門医の小林 欣夫、齋藤 佑一と申します。
- このページに来ていただいた方は、もしかすると「自分が狭心症になってしまった?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 狭心症とは心臓の筋肉に十分な血液が行きわたらず、胸の痛みが起こる病気です。
- よく認められる症状は「締めつけられるような胸の痛み」です。
- 他に息苦しかったり、胸以外の場所(あご・のど・肩・背中・みぞおちなど)に違和感や不快感を感じたりすることもあります。
- それらの痛みや違和感は一時的で15分以内程度で症状がよくなることが多いです。
- わずかに体を動かすだけで「胸の痛み」が起こる場合やどんどん症状が悪化しているような場合には、急いで医療機関を受診することがすすめられます。
- 狭心症は種類によって、薬物療法や手術を選択していきます。
- 狭心症は加齢、喫煙、高血圧、糖尿病、高コレステロールによって引き起こされるので、生活習慣の管理が、狭心症の治療にとても大事です。
狭心症は、どんな病気?
- 心臓は、全身に血液を送るポンプの働きをしています。また、心臓は冠動脈という血管を介して血液を供給されることで動いています。
- 狭心症とは、心臓の筋肉に十分な血液が行きわたらず、胸の痛みが起こる病気です。
- 特徴的な症状は「締めつけられるような胸の痛み」です。
- 他に息苦しかったり、胸以外の場所(あご・のど・肩・背中・みぞおちなど)に違和感や不快感を感じることもあります。
- それらの痛みや違和感は一時的で15分以内程度で症状がよくなることが多いです。
どんな種類(タイプ)があるの?
- 狭心症は、その特徴により、冠動脈が狭くなっている労作性狭心症【ろうさせいきょうしんしょう】と、冠動脈がけいれんして狭くなる冠攣縮性狭心症【かんれんしゅくせいきょうしんしょう】、症状が悪化している不安定型狭心症などの種類があります。
労作性狭心症
- 最も多いタイプです。
- 冠動脈(心臓自身の血管)に狭い部分があることで、心臓自身へ入る血液の量が少なくなります。
- 体を動かすことで胸の痛みが起こります。
- 安静にしていると症状はよくなります。
冠攣縮性狭心症【かんれんしゅくせいきょうしんしょう】
- 冠動脈がけいれんして狭くなることで、一時的に心臓の血流が悪くなるタイプです。
- 夜間から朝方にかけて起きやすいです。
不安定型狭心症
- わずかに体を動かすだけで「胸痛」が起こる、もしくはどんどん症状が悪化しているような狭心症の状態です。
- 心筋梗塞(心臓自身の血管に血の塊がつまる病気)に移行することもあります。
狭心症と思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- 以下に当てはまる症状がでたら、まずはかかりつけ医を受診しましょう。
狭心症の症状
- 締め付けられるような胸のいたみ
- 胸の圧迫感
- あご、のどなどの不快感
- 腰や背中の痛みや違和感
- 痛みや違和感は動いているときに起こりやすい
- 痛みや違和感は15分くらいの短い時間でおさまる。
- わずかに体を動かすだけで胸の痛みが起こる、もしくはどんどん症状が悪化しているように感じる場合は、急いで医療機関を受診することがすすめられます。
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- 狭心症の診断には、問診が非常に重要です。
- また問診に加え、以下のような検査をすることになります。
検査
- 血液検査:採血し、血液中の物質に異常がないかをみます。
- 胸部X線検査:胸の特殊な写真を撮ります。心臓の大きさなど異常がないかをみます。
- 心電図検査:心臓の収縮に必要な信号を読み取り、狭心症や心筋梗塞のサインがないかをみます。
- 上記の一般的な検査に加えて、負荷心電図検査、核医学検査、心臓CT検査、冠動脈造影検査などが行われることがあります。
- 検査には各々のメリット・デメリットがあるので、担当医と相談するとよいでしょう。
どんな治療があるの?
- 狭心症と診断された場合、以下のような治療があります。
薬物療法
- 狭心症の症状を起こりにくくする薬があります。薬を飲むことで、症状が悪くなるのを防ぎます。
手術療法
- 手術により血管の狭い場所を広げることで症状を起こりにくくします。
- また、狭まった血管に健康な血管をつなげることで血流を良くする方法もあります。
コラム:手術の詳細
- 経皮的冠動脈インターベンション:血管からカテーテルと呼ばれる細い管を挿入して、冠動脈の狭い部分などをバルーン(風船)やステント(金属の網)等で拡げる治療です。通常は、局所麻酔で行われます。
- 冠動脈バイパス手術:冠動脈の狭い部分などの先に、別の血管をつないで心臓の血流を改善させます。通常は全身麻酔で行われます。冠動脈インターベンションよりもこちらが適している場合があります。
お医者さんで検査や治療を受けた後はどんなことに気をつけたらいいの?
- 狭心症は、次の因子によって起こりやすかったり、症状が進んでいきます。
狭心症の因子
- 加齢/喫煙
- 高血圧
- 糖尿病
- 高コレステロール
- したがって、このような生活習慣の管理が、狭心症の治療にとても大事です。
- 薬物治療も必須ですが、まずは日頃の生活習慣からきちんと体のケアをしていくことが重要です。