アルコール中毒:どれくらいの量で起こる?症状は?受診のタイミングは?
更新日:2020/11/11
- 救急科専門医・総合内科専門医の青山 剛士と申します。
- このページに来ていただいた方は、自分や家族がアルコール中毒になってしまったかもしれないと思い、不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- アルコール中毒は、短時間に大量のアルコールを飲むことで起きます。
- ひどい場合は、意識を失い、命を危険にさらすことさえあります。
- アルコールは適量を守り、一気飲みをしない、させないことが大切です。
アルコール中毒は、どんな病気?
- アルコール中毒とは、短時間に大量のアルコールを飲み、体内のアルコール濃度が一気に高くなることで、意識を失ったり、息が止まったりすることもある病気です。
アルコール中毒と思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- お酒を飲んだ後に下記のような症状があった場合は、病院に行くことを検討するか、救急車を要請してください。
医療機関の受診を検討する場合
- はき気、おう吐、下痢、おなかが痛い
- 胸がドキドキする、息が苦しい、胸が痛い
- 頭痛、めまい、力が入らない
- ケガをしている
救急車を呼ぶ場合
- 呼吸がおかしい(不規則、ゆっくり)
- 冷や汗をかいている
- おしっこや便をもらしている
- 呼びかけても反応がない
- 体が冷たくなっている
アルコール中毒になりやすいのはどんな人?
- 誰でも、短時間に大量のアルコールを飲むとアルコール中毒になる可能性があります。
- アルコールの適量は人それぞれですが、節度ある適度な飲酒量は、1日にアルコール約20gと言われています。
- ただし、女性、ご高齢の方、お酒を飲むとすぐに顔が赤くなる方は、より少ない量にすることをおすすめします。
アルコール約20gとは
- ビール瓶ならば中瓶1本(500mL)
- 清酒、焼酎ならば1合(180mL)
- ウイスキーダブルならば(60mL)
- ワインならば1杯(120mL)
どんな症状がでるの?
- アルコール中毒になった場合、下記のような症状があらわれます。
アルコール中毒のおもな症状
- 運動障害
- 言語障害
- 頻脈
- 記憶障害
- 錯乱、傾眠
- 嘔気、嘔吐
- 呼吸抑制
- 意識消失
- 昏睡
- 低血圧
- 低体温
- 呼吸停止
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- アルコール中毒が疑われるときは、採血をして、血液中のアルコール濃度、体への影響を調べます。
- 意識がない方やケガをしている方には、頭のCT検査を行って、ほかの病気が隠れていないか調べることがあります。
どんな治療があるの?
- 体の中でアルコールが分解され、症状が落ちつくのを待つのを注意深く様子を見ます。
- 必要に応じて水分、糖、ビタミンB1などを点滴します。
- 吐き気、おう吐がある場合は、吐き気止めを使います。
- 暴れている方には、眠るお薬を使うことがあります。
- 数時間様子を見ていても目が覚めない場合には、入院して様子を見ます。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?食事や生活で気をつけることは?
- 吐いたもので窒息してしまうことがありますので、できるだけ誰かがそばにいるようにしてください。
- 寝かせる時は顔を横に向け、息をしているか確認してください。
- 体が冷えないように暖かくしてください。
- 意識がはっきりしてきたら、水分を十分にとってください。
- バランスのとれた食事をとってください。
予防のためにできることは?
- アルコール中毒を予防するためには、ご自身だけでなく、周りの方にも次のような配慮が必要です。
アルコール中毒の予防
- 一気飲みやお酒の強要はやめる。
- 空腹での飲酒は避ける。
- 体調が悪い日は飲酒を控える。
- 飲まない日をつくる。
- 未成年者の飲酒を防止する。
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- アルコール中毒で病院に運ばれた場合、数時間で帰宅できることが多いです。
- 意識が戻らず、血圧が下がったり、呼吸がゆっくりになっている場合は、入院していただく必要があります。
追加の情報を手に入れるには?
- アルコール中毒に関しては下記のページを参考にしてください。
- 健康日本21のサイト
- http://www.kenkounippon21.gr.jp/kenkounippon21/about/kakuron/index.html
- 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト
- https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol
もっと知りたい! アルコール中毒
アルコールによる生活への悪影響
- アルコールを飲みすぎると、正常な判断ができなくなるために、下記のように健康と安全が危険にさらされる可能性があります。
アルコールによる健康と安全の危険
- 交通事故、自殺、溺水などでケガをする
- 暴力や事件に巻き込まれる
- 危険な性行為により、予定外の妊娠または性感染症になる
アルコールによる健康への長期的な悪影響
- アルコールの乱用により下記のような合併症が起こり、回復までに長時間を必要とし慢性的な問題になることもあります。
アルコールの合併症
- アルコール依存症
- 急性膵炎、慢性膵炎
- アルコール性肝障害
- 電解質異常
- 胃炎、胃十二指腸潰瘍
- 食道裂傷
- 運動障害、感覚障害
- 心不全
- 認知症
- 外傷(特に頭部外傷)