非接触・非対面診療とスピーディな対応を実現。体感的に短縮効果は無限大
診療科: 複数科
規模:  病院
都道府県:滋賀県
●施設情報
大津赤十字病院
〒520-0046 滋賀県大津市長等一丁目1-35
Webサイト:https://www.otsu.jrc.or.jp/
代表番号:077-522-4131
●インタビューにご協力いただいた方々
片倉 浩理 先生(副院長)
増尾 佳苗 さま(外来師長)
橋本 智広 さま(医事情報課・課長)
坂下 由加里 さま(医事課・係長)
※インタビューは2023年10月6日に行い、その時の情報に基づいてまとめました。
POINT

コロナで差し迫った危機の突破口に

オンプレミス運用の安心感と電子教科書の利活用

・業務効率化、大幅な時間短縮効果を体感

大津赤十字病院(滋賀県大津市長等)では、2022年9月に『今日の問診票』を導入。

今回は副院長 片倉先生、外来師長 増尾さま、医事情報課・課長 橋本さま、医事課・係長 坂下さまに、導入の決め手や運用状況、具体的な成果についてお話をうかがいました。 

コロナで差し迫った危機の突破口に

ーー診療科目や理念について教えてください。

当院は1904年に「日本赤十字社滋賀支部病院」として開院し、3つの診療科、60床でスタートしました。1943年に「大津赤十字病院」と改称し、現在は37の診療科、病床数684床を有する総合病院となりました。

高度救命救急センターをはじめとする急性期医療の提供機能、非常災害救護の拠点である基幹災害拠点病院となっています。また「地域医療支援病院」「がん診療連携拠点病院」の承認・指定を受けています。

「人道・博愛」を理念として掲げ、患者さまのみならず、家族や同僚、そしてすべての人に対して心やさしい病院でありたいと願っています。

ーー『今日の問診票』を導入した経緯を教えてください。

以前は、紙の問診票を患者さまに書いていただき、その後に看護師が口頭で内容を確認。問診だけで30分ほどかかることもありました。その後、ドクターが問診内容を電子カルテへ手入力していたため、更に5〜10分ほど時間を要していました。

このような状況から、現場の業務負担軽減と正確な記録を残す目的でAI問診票の導入を検討していましたが、実現には至っていませんでした。

ほどなくしてコロナ禍を迎え、多くの患者さまに非接触・非対面での対応が必要となり、急いで専用受付を用意して院内は切羽詰まった状況になりました。それで一度頓挫したAI問診票の導入を今こそすべきではないか、と考えました。

オンプレミス運用の安心感と電子教科書の利活用

ーー『今日の問診票』を選んだ理由を教えてください。

オンプレミス運用が可能であることが、一番の決め手でした。患者さまがスマホで入力する際、外部サーバに個人データが残ることなく、病院内で問診内容を吸い上げることができるので、セキュリティ面で安心です。

電子教科書を使って新しい情報を診療現場に導き、利活用したいという考えもありました。また営業の方の説明が丁寧でしっかりとされていたので、信頼できると感じました。

ーー『今日の問診票』の活用状況を教えてください。

現在は内科、血液内科、呼吸器内科、呼吸器外科、脳神経外科、皮膚科、耳鼻咽喉科、泌尿器科の初診患者さま全員にご利用いただいています。病院側で用意したタブレット、もしくは患者さまのスマホからご入力をお願いしています。

「今日の問診票」では問診内容をカスタマイズすることができますが、当院ではあえてカスタマイズをせずにデフォルトの問診票を採用しております。その理由は、大きく2つあります。1つ目は、カスタマイズをすることで鑑別疾患が導かれない可能性があるためです。AI問診票の大きなメリットを有効利用したいという思いがありました。

2つ目は、診療科ごとの問診のボリューム差を無くすためです。紙で問診を行っていた際は、診療科ごとに異なる内容を聞いており、なるべく標準的な統一された項目で聴取したいと感じていました。その他、問診入力を支援するスタッフも統一画面でフォローしやすい点などがメリットです。

業務効率化、大幅な時間短縮効果を体感

ーー『今日の問診票』導入後の具体的な成果を教えてください。

導入後はコロナの診察を非接触・非対面で実施できるようになったことに加え、患者さまが大量にいらしても迅速に対応できるようになり、一石二鳥の効果をもたらしてくれました。

患者さまに『今日の問診票』をご回答いただいている間、看護師は診察までの様子を観察する業務に専念しています。ドクターの問診業務は、テキスト化された問診内容を電子カルテにコピペするのみとなりました。作業が秒単位で終わり、体感的には無限大の短縮効果だと思っています。

ーー患者さまの反応はいかがですか?

最初は戸惑いながらも、ご自身でスイスイと入力される方がほとんどです。「こちらの病院でも始めたのですね。やっと時代に乗りましたね」とユーモアを交えておっしゃる方もいました。

ご高齢の方が入力に手間取っても、何十分もかかることはありません。事務スタッフや看護師がサポートしたり、付き添いのご家族が入力したりとかえって早くできることもあります。

先日421人の10歳未満から90代以上の患者さまを対象に、問診回答にかかる時間の平均を調査したところ、9分28秒という結果が出ました。このデータからも、患者さまが概ねスムーズに使われていることが分かると思います。

ーー今後の展望を教えてください。

救急科や希望のある診療科に対して、順次導入予定です。最終的には全科に拡大したいと考えています。院内でDX化を進めていますが機器を入れて終わりではなく、医療スタッフと患者さま双方を巻き込んで病院全体に新しい風を吹かせたいですね。

ーー本日は貴重なお話をありがとうございました!