発熱外来のAI問診票で来院前に症状把握&受診準備。電話問診がなくなり、診療の効率化と時間短縮に成功!働き方改革への第一歩に
診療科: 発熱外来
規模:  病院
都道府県:長崎県
●施設情報
医療法人徳洲会 長崎北徳洲会病院
所在地 : 〒851-2131 長崎県西彼杵郡長与町北陽台1丁目5番1
Webサイト : https://www.nk-toku.jp/
代表番号 : 095-813-5800
●インタビューにご協力いただいた方
鬼塚 正成さま (院長)
※インタビューは2022年11月8日に行い、その時の情報に基づいてまとめました。
POINT

看護師の負担を減らしたい

より丁寧な看護ができるようになった

・ランニングコストの面から考えてもプラスに転じている

・働き方改革の推進にDXは必要不可欠

長崎北徳洲会病院(長崎県西彼杵郡長与町)では、2022年8月に『今日の問診票』をご導入いただきました。今回は院長の鬼塚 正成先生に、導入の背景や選んだ理由、今後の展開についてお話をうかがいました。 

ーー診療科目や理念について教えてください。

2021年5月に長崎県長与町北陽台へ新築移転しました。救急からリハビリテーションまで一貫した医療を提供しています。年中無休・24時間対応で、救急をできる限り断らず、どんな患者さまも平等に扱うことをモットーに、日々診療にあたっています。

新病院では災害と感染に強い病院を目指し、新型コロナウイルス感染症の診療・検査医療機関として、発熱外来を設置しています。

看護師の負担を減らしたい

ーー『今日の問診票』を導入した理由を教えてください。

発熱外来における看護師の負担を減らしたいと思ったのがきっかけです。

『今日の問診票』を導入する前は、看護師が患者さま一人ひとりに電話で事前問診をしており、各患者さまに同じ質問をしている様子を見て、心苦しく思っていました。また、台風や夏の酷暑の中でも、看護師は個人用防護具(PPE)を着て屋外で長時間、患者さまの対応にあたっていました。

最近の飲食店は、タブレットやスマホで受付や注文ができますよね。それを見て「なぜ病院ではやらないのか?あれなら看護師の負担を減らせるはず…」と思ったんです。

ーー『今日の問診票』の活用状況を教えてください。

発熱外来で利用しています。現在は、約9割の患者さまに『今日の問診票』をご利用いただいています。

導入を決めたのがコロナ第7波のピーク期だったこともあり、まずは発熱外来から至急で導入をお願いしましたが、その後、問題なく活用できています。要望がある患者さまには個別で対応しますが、とくに苦情もありません

ランニングコストの面から考えてもプラスに転じている

ーー『今日の問診票』導入後の具体的な成果を教えてください。

患者さまの待ち時間短縮、スタッフの負担軽減、ランニングコストの面から考えてもプラスに転じていると思います。

発熱外来は8時半から11時までの電話予約制で、来院前にAI問診票への回答をお願いしています。回答が電子カルテに反映されるため、それを見て医師が患者さまに電話し、うかがった症状から可能な範囲でお薬などを準備しておくんです。

来院前のAI問診票と電話問診をもとに、症状を把握して受診準備がきるようになったことや、患者さまの来院時間を午後に限定したことで、院内業務を効率化し、診療時間を格段に短縮することができました。

加えて、それまで患者さまが来院するたびに着替えていた個人用防護具(PPE)の処分を減らすことができ、無駄な医療資源を減らすことにもつながっています。

ーー現場スタッフさまの反応はいかがですか?

看護師が本来の業務に専念できるので、より丁寧な看護ができるようになりました。

効率が良くなったことで、時間のゆとりが心のゆとりを生み、間違いが減って医療安全にもつながります。スタッフも同じように感じていると思います。

改革の推進にDXは必要不可欠

ーー今後の展望を教えてください。

医療現場においても働き方改革が求められています。改革の推進にDXは必要不可欠だと感じています。

当院では2ヵ月前からDXに取り組んでいます。今はまだスタッフ、患者さまともに慣れる時期。当分はすべてをAIに頼るのではなく、人間の力でできることはやっていこうと思っていますが、将来的に発熱外来だけでなく、総合内科の問診にも利用を拡大していこうと考えています。

例えば、総合内科に訪れた新患の方をどの科にご案内するか、戸惑うケースがあります。受付時にAI問診票を使えば、最適な医師をマッチングできるのではないかと期待しています。

ーー本日は貴重なお話をありがとうございました!