脂漏性皮膚炎:原因は?症状は?自分でできるケアは?治療は?
更新日:2020/11/11
- 皮膚科専門医の加倉井 真樹、出光 俊郎と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると「脂漏性皮膚炎になってしまった?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 脂漏性皮膚炎とは、頭の皮膚や鼻の両脇、耳の後ろなどの皮脂の多い部位に起こる皮膚の炎症で、フケが増えたり、地肌が赤くなったりします。
- マラセチアという、皮脂を好むカビが原因です。
- 皮脂が増えるのは、寝不足、ストレス、ビタミンB不足のときと考えられています。
- 治療を受けていただければ比較的すぐに治ります。
- ミコナゾール入りのシャンプー・リンスや、洗顔料を使っていただくのも改善に役立ちます。
脂漏性皮膚炎は、どんな病気?
- 脂漏性皮膚炎とは、頭皮、鼻の両脇、眉毛、耳の後ろなど、皮脂の多い部位に起こる皮膚炎です。
- 頭皮ではフケがふえたり、地肌が赤くなったりします。顔や耳は赤くなって、かさついたりします。
- 脇の下、胸、背中の中央部が赤くなることもあります。
どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?
- フケが多くなったり、頭皮や顔に痒みや赤みがでたりした場合は、早めに病院を受診してください。
脂漏性皮膚炎になりやすいのはどんな人?
- 脂漏性皮膚炎は男性に多いです。
- 生後2カ月までの乳児と、30歳~40歳くらいにはじまることが多いとされています。
脂漏性皮膚炎の原因は?
- 脂漏性皮膚炎の原因が、マラセチアというカビ(真菌)であることがわかってきました。
- マラセチアは、顔や頭皮にもともといる菌で、皮脂を好みます。皮脂や汗が増えると増殖し、皮膚炎を起こします。
- 皮脂が増えるのは、寝不足、ストレス、ビタミンB不足のときと考えられています。
どんな治療があるの?
- ステロイド:気になる症状を抑えるため、塗り薬を使います。
- 抗真菌剤:マラセチアをやっつけるために塗り薬を使います。症状がおさまった後も続けて使用すると、予防効果が期待できます。
- ビタミンB群:飲み薬を使うこともあります。
- 抗ヒスタミン薬:痒みがあるときは、飲み薬も併用します。
早くよくなるために自分でできることは?
- 次のことを心掛けていただくとよいでしょう。
脂漏性皮膚炎が早くよくなるために
- 脂肪の多い食事を減らしてください
- ビタミンB群、特にB2、B6を多く含む食品(豚肉、卵、牛乳、ほうれん草、シジミ、椎茸など)を意識して摂取するようにしてください
- 寝不足にならないようにしてください
- 1日2回、石鹸もしくは洗顔フォームで顔を洗ってください
- なるべく毎日シャンプーで髪を洗ってください
脂漏性皮膚炎にならないためにおすすめのシャンプー
- 抗真菌剤であるミコナゾール入りのシャンプー・リンス、洗顔フォームが販売されています。これを使用してみるのもよいでしょう。
- 薬局でそのように相談するとシャンプーを選んでくれると思います。
治療を受けた後に気を付けることは?
- 脂漏性皮膚炎は、適切な治療を受けていただければ比較的早く治ります。
- 治療を受けてもなかなか症状がおさまらないときは、別の病気の可能性もあります。再度病院を受診してください。
コラム:脂漏性皮膚炎の鑑別疾患
- 尋常性乾癬、頭部白癬、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、HIV感染症など。
他の人にうつるの?
- 脂漏性皮膚炎が人にうつることはありません。ご安心ください。