急性腎障害:症状は?原因は?検査や治療は?血液透析が必要になるの?
更新日:2020/11/11
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると「自分あるいはお知り合いが急性腎障害と言われたけど、一体どういう病気なんだろう?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 急性腎障害は急に腎臓の機能が低下する病気です。
- 脱水や血圧低下、薬剤の副作用、敗血症などの多臓器不全が原因として多いです。
- 突然起こり、すぐに回復する急性腎障害もあれば、多臓器不全になってしまう急性腎障害もあります。
- 自覚症状は全身倦怠感などはっきりしない漠然としたものが多いです。
- 急性腎障害は血液検査と尿量によって診断されます。
急性腎障害は、どんな病気?
- 急性腎障害は急に腎機能が低下してしまう病気です。
- 自宅で生じることもあれば、別の病気で入院中に合併症として生じることもあります。
- 血液検査と尿量で診断されますが、自覚症状はないことも多く、特別な治療薬もありません。
- 急性腎障害は突然悪化して、元の腎機能に回復することが多いのですが、一部は慢性腎臓病に移行することがあります。
急性腎障害と思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- 自覚症状のみで急性腎障害を疑うことは難しいのですが、下記のような場合は、医療機関の受診を検討してください。
かかりつけ医への受診がおすすめな場合
- 数日の経過で喉の渇きがひどくなる場合
- 数日の経過で足のむくみが生じた場合
- 半日以上排尿がない場合
救急車を呼ぶ場合
- 突然の息苦しさを認める場合
- 手足がしびれて力が全く入らない場合
受診前によくなるために自分でできることは?
- 早くよくなるためには下記のことを行うとよいでしょう。
早く良くなるために
- 水分を多めに摂取する
- 尿の色をよく観察する
- 最近始めた薬剤や健康食品は中止してみる
急性腎障害になりやすいのはどんな人?原因は?
- 急性腎障害になりやすいのは下記のような人です。
急性腎障害になりやすい人
- 慢性腎臓病と診断されている人
- 高齢者
- 肝臓疾患を持つ人
- 長時間にわたる大きな手術を受けた人
どんな治療があるの?
- 残念ながら、急性腎障害に対する特別な薬剤はありません。
- 脱水があれば輸液を行い補正します。
- 腎臓に害のある薬物などを使用中であれば、可能な限り速やかに中止します。
- 腎臓から膀胱にいたるまでの尿の通り道が閉塞している場合には、その閉塞を外科的に解除します。
- 多臓器不全となった場合には集中治療室にて治療を行います。
- 血液透析といった腎機能を代替する治療法も選択肢となります。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?食事や生活で気をつけることは?治療の副作用は?
- 急性腎障害から回復しても慢性の経過を取ることがあります。
- 検診などで検尿検査を定期的に受けましょう。
- 検診で異常がなければ食事や生活で特段の注意事項はありません。異常があれば食生活の改善に努めてください。
- 息苦しさや急な足のむくみ、手足のひどいしびれ等を認める場合は再度の医療機関の受診を検討してください。
予防のためにできることは?
- 急性腎障害を予防するために下記のことに注意することが大切です。
急性腎障害の予防のために
- 暑い時期での長時間の外出や水分制限を避ける
- 腎臓に障害を起こしやすいといわれている薬物(痛み止め、抗生物質の一部)をむやみに摂取するのは避ける
- 長時間の手術を受ける場合には、事前に説明をよく受ける
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- 残念ながら、完全に治ることはありません。
- しかし、急性腎障害は健康な若年者に生じた場合には、ほぼ元の腎機能にまで回復することが期待できます。
- 高齢者と慢性腎臓病をすでに合併している場合には、低下した腎機能が完全に戻ることは少ないとされています。
- 血液透析などが必要となった重症の急性腎障害では、そのまま血液透析が止められない状態になります。また、多臓器不全となって死亡してしまうこともあります。
追加の情報を手に入れるには?
- 日本の5つの学会が合同で発表したガイドラインがあります。
- AKI(急性腎障害)診療ガイドライン2016