離島医療を強力サポート。「電子教科書」で専門外疾患の見逃しを未然に防ぐ
診療科: 複数科
規模:  病院
都道府県:鹿児島県
●施設情報
沖永良部徳洲会病院
〒891-9213
鹿児島県大島郡知名町瀬利覚2208
Webサイト:https://erabu.tokushukai.or.jp/
代表番号:0997-93-3000
●インタビューにご協力いただいた方々
藤崎 秀明 先生(副院長)
原口 喜代恵 さま(看護師長)
※インタビューは2023年10月6日に行い、その時の情報に基づいてまとめました。
POINT

専門外の疾患で「電子教科書」が活躍

化学療法前の問診票もカスタマイズ作成

・診察までの待ち時間を短縮

沖永良部徳洲会病院 (鹿児島県大島郡知名町瀬利覚)では、2023年5月に『今日の問診票』を導入。

今回は副院長の藤崎先生、看護師の原口さまに、導入の決め手や運用状況、具体的な成果についてお話をうかがいました。

ーー診療科目や理念について教えてください。

沖永良部島は、奄美大島と沖縄県の間にある離島です。当院はこの人口約1万1千人の島に、都会と同レベルの高度な医療機器を備えた総合病院です。医療技術・診療態度の向上に絶えず努力し、最新の医療と丁寧な接遇を行うように努めています。

診療科目は多岐にわたり、あらゆる症状の患者さまがいらっしゃいます。年中無休・24時間体制で救急医療を提供し、患者さまのどなたさまに対しても公平な態度を徹底しています。

医療講演の開催や他の医療機関との連携を行い、地域社会への貢献を目指しています。

診察までの待ち時間が1時間になるケースも  

ーー『今日の問診票』を導入する前は、どのような課題がありましたか?

患者さまの診察までの待ち時間が長いことが課題でした。

以前から紙の問診票は活用しておらず、看護師がすべて口頭で問診をしてメモを取り、その後電子カルテへ直接入力をしていました。

患者さまが診察室に入るまでに、トータルの待ち時間は30分から長くて1時間かかってしまうケースもありました。

専門外の疾患で「電子教科書」が活躍

ーー『今日の問診票』導入後の具体的な成果を教えてください。

当初は看護師の業務効率化と診察待ち時間の短縮が導入の狙いでしたが、現在もっとも有効的だと感じているのは「電子教科書」の機能です。

専門外の疾患では、何度も助けられました。検査すべき事項や、さらには治療法も書かれているのでとても重宝しています。今までは毎年分厚い医学辞典を購入していましたが、今年はもう不要だと感じるほどです。

具体的には、肝障害と発熱の症状で来院された患者さまに対して活用した例があります。画像も何もなかったため、鑑別疾患を考えながら、漏れない検査を組み込むために参照しました。

専門の呼吸器内科では、肺がんの患者さまに化学療法を実施する前に回答いただく問診票をタブレットで入力できるようカスタマイズで作成しました。そのおかげで以前はスルーしがちだった回答内容も、見落とさないようになりました。

ーー『今日の問診票』の活用状況と運用フローについて教えてください。

1日の来院数が200人前後で、そのほとんどが高齢の再診患者さまです。初診の方はもちろんですが、再診の方にも『今日の問診票』を利用いただいています。

受付が済んだあと所定のテーブルに座っていただき、その上に置いてあるタブレットで入力をお願いしています。高齢の患者さまの半分以上がスマホなどの機械に不慣れなため、看護師が手伝うこともあります。

初診の方は受付後すぐに問診票に回答いただくことで、診療時間までの時間短縮が実現できました。

ーー今後『今日の問診票』に期待することはありますか?

音声入力の機能です。高齢の方は機械に不慣れということもありますが、ご自身の症状を文字で表現するのが難しいようで看護師のサポートが必要になります。聞き直すパターンが多いので、音声入力が可能になれば、さらに効率化が図れるかもしれません。

また、電子教科書の機能を院内でより有効活用していけるよう、取り組んでいきたいと考えています。

ーー再診患者さま用に「前回からお変わりないですか?」「お薬はありますか?」など簡単な設問を用意して、「はい」「いいえ」の二択で答える方式を解決策としてご提案させていただきます。

本日は貴重なお話をありがとうございました!