『今日の問診票』で、外来看護師の予診業務を効率化
地域の中核病院の総合診療科で業務改革を実現 
診療科: 複数科
規模:  病院
都道府県:神奈川県
●施設情報
所在地/ 〒247-8533 神奈川県鎌倉市岡本1370番1
代表番号/ 0467-46-1717
病床数/ 658
●インタビューにご協力いただいた方々
西口 翔 先生(総合内科 部長)
外囿 上柄 さま(外来看護師 主任)
濱中 亮 さま(情報システム管理室 副主任)
※インタビューは2021年7月1日に行い、その時の情報に基づいてまとめました。
POINT

・総合内科の初診外来にいらっしゃるすべての患者さんが『今日の問診票』を利用

・ご高齢の患者さんに「これどうやって使うの?」と聞かれることはまずありません

・薬の量が多い患者さんの薬剤情報の入力作業がかなり楽になった

患者さんの安心安全という部分に、『今日の問診票』はより特化している

どのような患者さんも受診しやすい診療科を目指して

−−どのような理念で日々の診療に取り組まれていますか?

西口先生:沖縄徳洲会の理念 は「平等」です。病院全体が、どのような患者さんでも受け入れられる体制をとっています。

総合内科では、紹介状がある患者さん、ない患者さん、何科を受診していいのか分からない患者さん、緊急性の少ない患者さんなど、さまざまな患者さんを受け入れています。

−−患者さんは1日どのくらいいらっしゃいますか?

西口先生:病院全体では、初診・再診を含めて多いときに1日2,000人ほどの患者さんがご来院されます。

総合内科の初診外来では少ない時で30人、多い時で60人の患者さんがいらっしゃいます。

総合内科の初診外来にいらっしゃるすべての患者さんが『今日の問診票』を利用

−−総合内科において『今日の問診票』をどのようにご活用されていますか?

西口先生:総合内科の初診外来にいらっしゃるすべての患者さんが、『今日の問診票』を利用しています。

外囿看護師長:患者さん視点の運用フローを説明すると、最初に受付で自分がかかる診療科を確認したあと、総合内科のカウンターに来てiPadで問診を入力いただいています。

問診の入力後は、カウンター前にある椅子で順番までお待ちいただき、すぐ横にある診察室で診察を受けていただきます。

現場スタッフの運用としては、入力が困難な患者さんの入力サポート、お薬手帳の写真取り込み、問診結果の電子カルテへのコピー&ペーストがあります。

実際に外来でご高齢の方が入力している場面

導入の決め手は3つ「問診票の内容をカスタマイズできる」「オンプレミス(院内ネットワーク運用)ができる」「データの保有権が病院側にある」

−−『今日の問診票』を導入するに至った経緯を教えてください

西口先生:元々、問診をデジタル化してなるべくペーパーレスにしていく流れが、病院のなかにありました。どのような形で実現するのがいいのかを模索しながら、他社製品も含めて比較・検討していました。

『今日の問診票』を制作したプレシジョンを病院に紹介したのは私です。たまたま『今日の問診票』の作成に私が少し携わっていたためです。『今日の問診票』に決定したのは、問診票の内容をカスタマイズできるなど、柔軟性があったことが理由の1つです。

濱中さま:他社のシステムはインターネットに接続することが前提だったため、セキュリティの部分で少し懸念がありました。また、データの管理や保有権もすべて企業側にあるということでした。

セキュリティ面や個人情報を企業側に預けるとなると、うちの病院では活用が全くできないなと。

オンプレミス(院内ネットワーク運用)ができる点と、データの保有権が病院側にある点、この2点が決め手になったと思います。

外囿看護師長:JCI(国際医療施設認定合同機構)認証のための項目に対しても、こちらのお願いした通りにカスタマイズしていただけたことが大きいと思います。

スキルや経験に関係なく問診をとれるのが魅力的

−−ありがとうございます。実際の現場の声があればお聞かせください。

外囿看護師長:今までは対面で問診をとっていましたが、スキル・経験によって問診内容のクオリティに差異がありました。現在は、患者さんがタブレットで入力してくれるため、看護師のスキルや経験に関係なく同じ内容で問診がとれるようになりました。

地域柄ご高齢の患者さんが多いですが、皆さん違和感なくスムーズに入力してくださっています。

−−ご高齢の方にも問題なく入力いただけているのですね。

外囿看護師長:主訴の入力までは看護師がサポートできるよう、患者さんの側についていますが、そのあとは問題なく入力していただけています。

時代の流れで、スマホを持たれているご高齢の方も多いですよね。「これどうやって使うの?」と聞かれることはまずありません。

外来受付の「AI問診実施中」表示

お薬手帳を写真で取り込めるため、薬の量が多い患者さんの薬剤情報の入力作業がかなり楽になった

−−『今日の問診票』を導入されてから楽になった部分はありますか?

外囿看護師:お薬手帳を写真で取り込めるため、特に薬の量が多い患者さんの薬剤情報の入力作業がかなり楽になりました。

もっと幅広い分野で電子化を進めていきたい

−−今後もっとこうしていきたいというビジョンはありますか?

濱中さま:デジタルコミュニケーション室としては、もっとさまざまなものを電子化していきたいです。手書きの字は、人によっては読めないこともありますよね。

−−電子化によって情報の見読性を高めるということですね。情報の保全性という面ではいかがでしょうか?

濱中さま:そうですね。基本的に、医療情報は電子カルテのデータが正になります。

『今日の問診票』では問診結果としてカルテの下書きが作成され、それを電子カルテに転記しますが、転記前の下書きの原本も残っていますよね。情報を書き加える前のデータの原本を電子的に残せるというのが、電子化のいい点だと思います。

外囿看護師長:看護師の立場からしても、手書きの問診票が読めないと初めからまた確認することになっていたため、電子化の意義を感じられています。

不定愁訴で来院される患者さんだと、対面問診ではすごく話が長くなって、なかなか終わるタイミングが難しいこともありました。

『今日の問診票』では、該当する答えを選択するだけの形で問診に回答できるため、患者さん1人あたりの対応時間が一定になります。そういった観点にも、電子化のメリットが現れていると思います。

『今日の問診票』の入力ブース。タブレット、消毒液、荷物置き場を備えている。

診療科特有の設問をカスタマイズすれば、他の診療科でもスムーズに『今日の問診票』を導入できる

−−『今日の問診票』へのご要望や課題はありますか?

濱中さま:システムに対する大きな要望・課題はありません。看護師がいかに使いこなすかが重要だと思うので、システムではなく運用に課題が生じると考えています。

外囿看護師長:先ほど西口先生からもお話があったように、総合内科を受診される患者さんは、どの診療科を受診すればいいのか分からないという方も少なくありません。そうした患者さんの主訴をきちんと引き出すために、看護師が主訴の入力までをサポートしています。

一方で、他の診療科では「なぜその科に来たのか」がはっきりしている分、運用は内科よりもスムーズにいくと考えています。

看護師がいない診療科の主訴の入力をどうするか、というのが課題だと思いますね。

濱中さま:診療科特有の問診内容もありますよね。

外囿看護師長:紙の問診票だと、その診療科だけで欲しい設問がプラスされていますね。そういった特有の設問を診療科ごとにカスタマイズすれば、他の診療科でもスムーズに『今日の問診票』を導入できるのかなと思います。

患者さんの安心安全という部分に、『今日の問診票』はより特化している

−−最後に、『今日の問診票』の導入を考えている医療機関の方々へ向けてメッセージをいただけますか?

外囿看護師長:カスタマイズ要望や改善要望を伝えると、すぐに対応していただけます。

濱中さま:JCI 認定の更新のたびに、記載に関する変更があったり、項目が追加されたりしています。それに対応していただけるところがいい点だと思っています。

もう一つは、患者さんの安心安全に手が届くシステムである点です。他社製品には患者さんのデータを別の目的に利用したり、患者さんの安心安全や痛みに踏み込んだ設問になっていなかったりすると感じるところもありました。

痛みや転倒リスクなど、患者さんの安心安全という部分に、『今日の問診票』はより特化しているという印象を受けています。

−−本日は貴重なお話をありがとうございました!