鼻血がでた:どんな症状?原因やリスクは?自分で対処する方法は?どんなときに医療機関を受診すればいいの?
更新日:2020/11/11
- 耳鼻咽喉科専門医の児玉 悟と申します。
- とつぜん鼻血(はなぢ)がでたり、ひどい鼻血が何日も続いたりすると、心配になりますよね。何か悪い原因で起こっているのではないか?と心配されたり、「病院に行ったほうが良いかな?」と不安になられたりするかもしれません。
- そこでこのページでは、鼻血の一般的な原因や、ご自身での適切な対処方法、医療機関を受診する際の目安などについて役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診療の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「本当に知ってほしい」ことなどについて、記載をさせていただいています。
目次
まとめ
- 鼻血とは、鼻の穴からの出血です。
- 多くは危険性の少ない鼻出血がほとんどです。
- 鼻血がでたら、鼻をつまんで、血はのみ込まないで下さい。
- 鼻血が続く場合は、耳鼻咽喉科を受診して下さい。
- 治療中や未治療の病気が原因で鼻血がでることがあります。
鼻血がでたとは、どんな病気?
- 鼻血とは、鼻の穴からの出血です。
- 鼻は鼻中隔という壁で左右に分けられています。さらに前の穴(前鼻孔)と後ろの穴(後鼻孔)があり、前の穴は顔にある鼻の穴にあたり、後ろの穴はのどに続いています。
- 鼻血は多くは前からの出血ですが、のどに血が流れ込むこともあります。
- 鼻の中の粘膜に傷がついていたり、鼻の中にできものができていたりすると、鼻血がでやすくなります。
- アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの鼻の病気に加えて、高血圧などの病気や血液がサラサラになる薬の影響で鼻血がでやすくなります。
鼻血がでたと思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- 鼻血の原因はさまざまですが、多くは危険性の少ない鼻血がほとんどです。
- ぽたぽたおちるぐらいの血であれば、鼻を指でつまんで下を向いていれば数分で止まることが多いです。
- 決して血をのみ込まないようにして下さい。
- 連日、出血が続いていたり、止まりにくい場合、痛みを伴い悪化している場合は耳鼻咽喉科を受診して下さい。
- 血液サラサラのお薬を飲んでいる場合はかかりつけの医師に相談して下さい。
受診前によくなるために自分でできることは?
- 鼻血がでるのは生活習慣と関連していることは多いです。
- 鼻をかんだり、鼻をさわったりしたときに鼻血がでることが多いのであれば、鼻をできるだけさわらないようにして下さい。
- 鼻の粘膜が乾燥して切れやすくならないようにマスクの着用も効果があります。
- 高血圧の方は力んだりする行動を控え、連日、鼻血が続いている場合は飲酒や喫煙を控えて下さい。
鼻血がでやすいのはどんな人?原因は?
- 鼻の左右を隔てている壁(鼻中隔)の前方には細い血管が密にあり、鼻を強くさわれば誰でも鼻血はでます。
- 鼻血は通常、粘膜の傷からの出血です。したがって、下記のようなものが原因で鼻血が起きやすくなることがあります。
鼻血が起きやすい原因
- アレルギー性鼻炎
- 副鼻腔炎
- 副鼻腔や鼻の奥(上咽頭)の腫瘍
- 高血圧(コントロールが悪い方)
- 血小板減少や血液疾患がある方
- 血液をサラサラにする薬を服用している方
- 毛細血管拡張症などの血管に異常がある方
どんな症状がでるの?
- 鼻血は鼻からの出血です。
- のどに血が流れ込むと、口やのどから血が出たと思われるかもしれません。
- 鼻に病気があれば、鼻づまりや鼻水、頭痛、顔の痛みなどの症状を伴うこともあります。こうした鼻の病気に関連する症状は、鼻血よりも先に出ることが多いです。
- 鼻血が連日、大量に続いた場合、貧血をきたすことがあり、ふらふらするといった貧血の症状が出ることがあります。
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- 受診時に出血している場合と、すでに止血している場合があります。診察や検査の前まえに、治療中の病気や内服薬の確認を行います。
- 検査としては下記のようなものがあります。
検査の種類
- 診察:前鼻鏡という鼻の穴を拡げる器具を用いて鼻の中の観察を行います。鼻血がどこから出ているかの確認を行います。鼻血の部位として多い、鼻中隔の前側からの出血であれば、比較的簡単に確認できます。
- 内視鏡検査:前鼻鏡で出血点の確認が難しい場合や鼻の奥の方からの出血が考えられる場合に行います。
- CT検査:腫瘍性疾患が疑われる場合に行います。
- 血管造影:動脈瘤などの血管性病変が疑われる場合に行います。
- 血液検査:血液凝固系の異常や貧血が考えられる場合に行います。
もっと知りたい! 鼻血のこと
どんな治療があるの?
- 鼻血の治療において大切なことは出血点の確認と病態の把握です。
- 粘膜損傷からの出血であれば、出血の勢いや血管拡張の程度に応じて、酸化セルロースやゲルスポンジなどの止血素材の留置、軟膏タンポンガーゼによる圧迫止血を行います。
- 粘膜の小血管に対しては硝酸銀を用いた化学的腐食法があり、鼻粘膜電気凝固も有効な方法です。
- 鼻の後ろからのどへの血液のたれこみがひどい場合は、バルーンカテーテルやベロックタンポンガーゼで後鼻孔を閉鎖し、鼻腔内は軟膏タンポンガーゼにてパッキングを行います。
- 血圧が高ければ血圧のコントロールが必要です。
- 抗凝固剤内服中であれば、中止の検討が必要になります。
- 鼻血の多くの場合は、外来治療で止血できますが、大量出血を繰り返す場合は入院が必要になります。
- 鼻のなかでの出血領域がある程度、特定できれば、前篩骨動脈や蝶口蓋動脈などの鼻腔内の血管凝固切断術、顎動脈のクリッピングが有効です。
- 腫瘍性病変が原因である場合は、腫瘍の治療が必要となり、出血点が不明で大量出血がある場合は、診断的治療の目的で血管造影(塞栓術)を行うことがあります。
- 出血により貧血が進んでいれば輸血を行います。
- 遺伝性毛細血管拡張症(オスラー病)では鼻血のコントロールのために鼻粘膜皮膚置換術を行うことがあります。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?治療の副作用は?
- 鼻血の処置、治療後は安静を保つことが大切です。
- 鼻はできるだけさわらないように気をつけて下さい。
- 血圧が上がるような行為、力仕事や激しい運動、力んだりする行為、入浴は避けて下さい。
- 飲酒やタバコも避けて下さい。
うつるの?自分の予防のためにできることは?
- 鼻血は感染症ではないので、他の人にうつることはありません。
- 高血圧や抗凝固剤内服中で治療中の方は、鼻の中をさわりすぎて鼻の粘膜を傷つけないよう気をつけて下さい。
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- 鼻出血は粘膜からの出血がほとんどです。
- 粘膜の損傷が治癒すれば出血はみられなくなります。
- 自然止血後や止血処置後、1週間ほど経過すると粘膜の損傷は修復し、出血はなくなります。